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稽古快調!

公演まであとひと月あまり。

10月中旬の歌舞伎・文楽ビデオ鑑賞からはじまった稽古。
約二週間、たっぷりと文楽・歌舞伎にひたったのち、読みの稽古がはじまりました。

この公演、リーディングと銘打っておりますが、単に朗読するのとは違い、むしろ演じる以上にエネルギーを要する作業になっています。

テキストには、文楽の床本を使います。

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いつも感じることですが、概ね現代劇の俳優は、呼吸が浅い。
したがって、しっかり構築された文体に声や体がついていかない。

遊戯空間に参加する俳優はそのあたり、泉鏡花、圓朝、または、和合亮一の手ごわい文体と取り組んでいるので、そこがずいぶんできてきましたが、一筋縄でいかないことも確かです。

今回の作品も長台詞がたくさん出てきますが、それを語りきるのがなかなか難しい。

意味を立体的にどうやって構築できるか、言葉の裏側にあるスケールの大きな情念を獲得できるか、また、個性的なキャラクターを作り出すことが出来るか、などに俳優の仕事があります。

また、地の文(セリフ以外の文)も俳優が語るので、それをどうやるかも問題です。

文楽の太夫は、たいてい一人ですべてを語るのですが、その時のセリフと地の使い分けが素晴らしい。
日本の伝統芸能の語り物の技法がそこにはあるわけですが、それを現代劇として取り扱いたい。

普段、対話劇になれてしまっている現代劇の俳優の体には、これもなかなか難題のようです。

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もともと昨年、日本演出者協会主催「中津川演劇キャンプ」で、協会有志と俳優が出演、私が演出し、中津川の地歌舞伎小屋で発表したものですが、その時の反省と、この仕事の大きな可能性から、この企画は、はじまりました。

中津川に参加していた秋葉舞滝子(スパイラルムーン)と、当初は古典勉強会的なものをする予定でしたが、「仮名手本忠臣蔵」をいざ始めようとなると、欲が出てくるというか、勉強会程度では収まらない作品の魅力に圧倒され、しっかり世に問う形を取りたいと思いました。

そしてこのような遊戯空間公演となったわけです。

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ご存じのように「仮名手本忠臣蔵」はとても長い物語で、歌舞伎・文楽でもなかなか通しで上演することはありません。
いま大阪の文楽劇場やっている通し上演でも10段目は割愛しています。

今年の春の歌舞伎公演は、2、8、9、10段目が割愛されていました。それでも「通し」と銘打ちます。

今回の遊戯空間公演の見どころとして、まさに11段すべてをやるということがあります。

もちろん原作のカットはします。
話の本筋に入る前の「埃しずめ」、(芝居ではまだざわついている観客に主役を出してもムダなので、 脇役などが場面にあった雰囲気作りをすることを指す。)は割愛し、また、段落ごとに単独でも鑑賞できるようになっているので、重複があります。これもカット。

そして、様式的な所作を省き、物語の起伏を生かして、スピーディに展開すると、これがものすごい二時間になるわけです。

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まだまだ話は尽きないのですが、今日はこの辺で。

次回以後は私以外の出演者による楽しいエピソードも披露されると思いますので、乞うご期待。

そして、公演にぜひぜひいらしてください。

篠本賢一
by yugikukan2 | 2012-11-10 10:07 | 稽古場日誌
<< 体力勝負! ありがとうございました >>